まなび、かく、ブログ。

まなぶことは、生きること。

春風とそうめんと『聞く力』

今週のお題「そうめん」

 

門下生

「こうもジメジメした日が続くと、食欲が出ないなあ!

昼は軽くそうめんでも食べようかなあ・・・」

 

師範

「そうだな。日本のそうめんという文化、世界に誇るべきものだ

高温多湿の島国だからこそ、育まれたものなのかもしれぬ」

 

門下生

「師範もそうめんがお好きで?」

 

師範

「うむ・・・

そうめんと言えば忘れられぬ男がいてな」

 

門下生

「え?どんな男なんです」

 

師範

「昔の話なんだがな・・・(遠い目)

大変世話になった中古自動車販売の営業マンでな。

その店、成約お礼やら来店お礼やらキャンペーンやらで、やたらと

そうめんをくれたんだ。

 

そこの担当営業マンが印象的な男でな。

そうめんと聞くと思いだすんだよ」

 

門下生

「・・・・いったい、どう印象的だったのです?」

 

師範

「・・・春風のような男だった。

さわやかで穏やか。

 

いつも笑みを湛え、

客のささいな声もじっくりと聴いてくれた。

本人は話上手というわけではないが、

『聞く力』に長けていた。

 

 不思議とこの男に話したい、

不思議とこの男から車を買いたい、

そう思わせてくれる何かを持っていた。

 

私自身、彼から15年にわたり4台の車を購入したのだよ。

 

グイグイと営業された結果では全くないよ。

私自身が不思議と、

彼から車を買うことを選んでしまうのだよ。」

 

門下生

「すごい・・・ 

人間の魅力に人は動かされるのですね」

 

師範

「その通り。人は理屈だけではなく感情でも動く

 

・・・そして『聞く力』は人の感情を動かすのに

最重要な力なのだと思う」

 

「この国には、いやこの世界には

人の話を聞けない人があまりに多すぎる。

 

聞く時間、、それは次に自分が何を話すかばかりに思考を巡らせて

我慢して待つ時間ではないのだよ。

 

目の前の人が

何を思い、何を伝え、何を欲しているのか、

想像力を働かせて 可能な限り感じ取る行為そのものだ」

 

門下生

「その営業マンは、本当の意味で『聞く』ことができていたのですね!」

 

師範

「ああ、そうだ。

私の昔話を、今日は『聞いて』くれたありがとうな」

 

門下生

「ええ。師範!お昼にでかけましょう。

駅前においしいそうめん屋ができたんですよ!」

 

師範

「ぐう・・・(おなかが鳴る)」

 

門下生・師範

「ははははははははは!!!」